【主張】教員採用取り消し 教室の混乱防止が急務だ

大分県教員採用汚職事件にからみ、同県教育委員会は、点数改竄(かいざん)によって不正採用された小、中学校などの教員21人の採用を取り消すことを決めた。昨年の試験で採用され、今春から教壇に立っている教員らで、この年の採用者の約3割にもあたる異例の事態だ。

教委や学校側は、保護者と児童生徒にも経緯や今後の対応について十分説明責任を果たし、不安や混乱を防がねばならない。

2学期を目前にした29日に臨時教育委員会が開かれ、県教委の調査結果が公表され、採用取り消しなどが決まった。

事件は平成18、19年の採用試験をめぐり、県教委ナンバー2の元教育審議監の指示を受け、実務担当の元義務教育課参事が点数改竄などの不正工作をしていた。

不正採用者の特定は困難とみられていたが、県警が押収した元参事のパソコンデータの分析などから判明した。ただ県教委が特定したのは、昨年の試験分だけにとどまった。

教員自身は、親などが合格依頼していたことを知らないケースが多いだろう。

だが専門家が「不正を中途半端にごまかせば、子供はかえって不信感を持つ」と指摘するように、教育者にとってけじめは当然つけねばならない。

不正採用で辞職した元校長の長男は「疑われている状況では、子供たちに正義を教える立場になれない」などと話したという。

心配されるのは教室の子供たちへの影響だ。現場の混乱防止が急務である。

県教委は不正採用と特定した教員について、自主退職のほか、希望すれば臨時講師として雇用するという。教員が突然いなくなる混乱を避ける一つの方策だろう。

2学期が始まる中で、学校側は保護者会を開くなどして今後の対応を含め明らかにすべきだ。必要があれば教師自身の口から子供たちに誠実に語ってほしい。

専門家の協力も得て子供たちの心のケアも必要だろう。

過去10年の県教委人事担当者から聞き取りした調査結果では、県議や県教委OBのほか、教職員組合の役員などから「頼みます」「結果を知らせて」などの依頼があった実態も証言され、構造的な「あしき慣習」が続いていたことが明らかにされた。信頼回復へ教委、学校の責任は極めて重い。

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